ポール・マッカートニー、テロ恐れず43年ぶりにイスラエル公演実現(ビートルズニュース記事 )

【9月26日 AFP】ビートルズ(The Beatles)の元メンバー、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)が25日、イスラエルのテルアビブ(Tel Aviv)のHayarkon Parkで野外コンサート「Friendship First」を行った。

 ビートルズは1965年にイスラエルでコンサートを計画していたが中止となっている。原因はスポンサーの予算の都合と、ビートルズは若者に悪影響を与えるとイスラエルの国会議員が懸念を表明したためとされている。イスラエルの大使は今年初め、マッカートニーと、同じくビートルズの元メンバーのリンゴ・スター(Ringo Starr)に対し、「素晴らしい機会を逃した」と過去のコンサート中止に関して文書で詫びている。そして1965年から40年以上の月日が経ったこの日、マッカートニーによるコンサートが実現した。

 マッカートニーはまず「シャローム・テルアビブ(こんにちは、テルアビブ)」と声を掛け会場をわかせ、ヘブライ語とアラビア語で挨拶をしてからジョン・レノン(John Lennon)の楽曲「平和を我等に(Give Peace A Chance)」でコンサートを始めた。

 66歳になったロック界のピーター・パンは、ヘブライ語を織り混ぜながら歌い続け、聴衆を喜ばせた。中には特別チケットのために1000ユーロ(約15万5000円)を支払った来場客もいる。

 Leora Friedさん(58)にとって、この伝説的な左利きベース・ギタリストの曲「マジカル・ミステリー・ツアー(Magical Mystery Tour)」は、まさに夢の曲だ。

「本当にハンサム、ほっそりしてるわ」と感激の涙をこらえながらFriedさんは言った。「このコンサートに来ることを本当に長い間夢見ていた」

「私はビートルズとともに育った。まるで家族に会ったような気がする」とは、北部の町ハイファ(Haifa)から同コンサートのためにやって来たYanor Mayさん(38)。

 しかしコンサート開催に当たって、マッカートニーはテロの警告を受けていた。

 今月初め、英サンデー・エクスプレス(Sunday Express)紙が伝えたところによると、イスラム過激派指導者のオマル・バクリ(Omar Bakri Muhammad)師はマッカートニーに向け、イスラエルに行くべきではないと忠告した。「イスラエルに行けば危険にさらされる。犠牲的精神の戦闘員が彼を待ち受けている」

 しかしマッカートニーはテロの脅迫に負けなかった。同コンサートをやり遂げることで、平和を広げることを望んでいる言う。

「どんな注目度の高いイベントにも、心配ごとはつきもの」と、21日付けの英字紙エルサレム・ポスト(Jerusalem Post)のインタビューで語っている。

 またイスラエルで売り上げ1位のイディオト・アハロノト(Yediot Aharonot)紙では、「イスラエルへ来ないよう要求したグループや政治団体もいたけれど、自分のしたいことをした」と語った。

 自身のウェブサイトでも「聴衆に影響を与えることは可能だ」と記している。

 マッカートニーは23日、エルサレム(Jerusalem)から外れたヨルダン川西岸の町ベツレヘム(Bethlehem)を訪問し、キリストが誕生したとされる場所に建てられた聖誕教会(Church of the Nativity)でキャンドルに火をともした。

 また、音楽学校Edward Said Music Conservatoryにも立ち寄り、若いパレスチナ人の生徒によるリハーサル風景を見学した。

 24日には、テルアビブのベングリオン国際空港(Ben Gurion Airport)で、ファンや記者の出迎えを受け、「平和と愛のメッセージを伝えたい」と述べた。

 マッカートニーとそのスタッフは地中海(Mediterranean)に臨む豪華ホテルで21部屋を利用。料金は10万ドル(約1000万円)を超えていると予測されている。

2008-9-26配信

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